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SECTION 01なぜ「おすすめランキング」にしないのか
先に断っておきたいことがあります。本記事は「Even Hubのおすすめアプリ○選」のようなランキング記事ではありません。理由は単純で、筆者はEven Hub上の全アプリを継続利用して比較したわけではないからです。自分自身がEven G2向けの話者認識アプリを開発している立場として、Even Hubのカタログは開発の参考にするために日常的に眺めていますが、それは「全アプリを公平に採点した」こととは違います。
もう一つの理由は、Even Hubというプラットフォーム自体の性質です。アプリ開発入門の記事でも書いたとおり、Even Hubの仕様もそこに並ぶアプリのラインナップも更新が速く、今日「おすすめ」と書いたアプリが来月には配信終了しているかもしれません。断定的なランキングを載せるより、あなた自身がEven Hubのカタログを開いたときに、自分で良し悪しを判断できる基準を渡す方が、記事が古くなっても価値が残ると考えました。
SECTION 02Even Hubのアプリはどこで探すか
Even G2を使うには、まずスマートフォンに「Even Hub」アプリをインストールし、グラス本体とペアリングします。この Even Hub アプリ自体が、Even G2の設定画面であると同時に、他の開発者が作ったアプリを見つける入口(カタログ)を兼ねています。専用のWebブラウザ向けストアが別にあるわけではなく、まずはスマホのEven Hubアプリを開くのが基本の探し方です。
カタログの中では、アプリがカテゴリやおすすめ順といった軸で並んでいる形です。具体的な並び順のロジックや検索機能の有無は今後のアップデートで変わりうるため、ここでは「Even Hubアプリを開けば一覧できる」という構造だけを押さえておいてください。
SECTION 03代表的なアプリのジャンル傾向
筆者がEven Hubのカタログを眺めてきた中で見えてくる、大まかなジャンルの傾向を挙げます。個々のアプリ名を挙げての評価は本記事では行いませんが、地図として押さえておくと探しやすくなります。
- 字幕・翻訳・会話サポート系:会話の内容をHUDに文字で表示する、いわゆる字幕的な使い方をするアプリ群です。Even Realities純正のConversate(日本語設定の記事はこちら)もこの系統にあたります。HUD型であるEven G2の表示という特性上、このジャンルはカタログの中でも存在感があります。
- 通知・メモ・生産性系:スマホの通知をHUDに転送したり、短いメモやリマインダーを表示したりするアプリです。「歩きながら、会話しながらチラッと確認する」というHUDの一瞥性(グランサブル)を活かした用途で、開発の題材としても手が付けやすいジャンルです。
- ナビ・案内系:目的地までの方向や次のアクションを短いテキストで示すタイプです。HUDの文字数制約が強く効くジャンルで、情報を出しすぎないUI設計が求められます。
- ユーティリティ・実験的アプリ:個人開発者やコミュニティが公開している、特定用途に特化した小さなアプリです。プラットフォームが新しい分、機能が限定的だったり更新が止まっていたりするものも一定数あります。
この並びを見ても分かるとおり、Even Hubのアプリ生態系は現時点では「視界に一言を出す」系統のアプリが厚く、リッチな表現をするアプリは少ないという傾向があります。これはセクション04で触れる、Even G2のHUDが緑単色・テキスト中心であるという制約と表裏一体です。詳しい表示の制約はアプリ開発入門の記事で解説しています。
SECTION 04インストール前に確認しているチェックポイント
筆者自身がEven Hubで新しいアプリを試すとき、インストール前に確認している項目を挙げます。開発者ならではの視点も混ざりますが、一般のユーザーにも応用できる基準です。
| 確認項目 | 見るポイント |
|---|---|
| 更新日・更新頻度 | 配信ページに最終更新の情報があれば確認する。プラットフォーム自体の更新が速いため、長期間放置されたアプリは非対応の機能が出やすい |
| 要求される権限 | マイク・通知・位置情報など、アプリの機能に見合わない権限を求めていないかを確認する |
| 日本語表示の対応 | HUD表示・アプリ内メニューが日本語に対応しているか。対応言語の記載がなければ、英語表示のみの可能性を想定しておく |
| 電池への影響 | 常時通信・常時表示を行うアプリは電池の減りが早くなりやすい。装着時間が長い人ほど重要な確認項目 |
| 説明文の具体性 | 「何ができるか」が具体的に書かれているか。曖昧な説明のアプリは、実際に試すまで挙動が読めないことが多い |
特に電池への影響は見落とされがちです。HUD表示や常時通信を行うアプリを複数同時に使うと、体感の電池持ちが変わってきます。長時間装着時の電池の実感は電池持ちの実測記事で別途まとめているので、複数アプリを併用したい方は参考にしてください。
SECTION 05開発者から見た「良いEven Hubアプリ」の条件
自分自身がEven G2向けのアプリを開発している立場から、「良いEven Hubアプリ」だと感じるものに共通する条件を書いておきます。これは他の開発者のアプリを評価する基準であると同時に、筆者が自分のアプリを作るときにも意識している基準です。
まず、「表示しない」判断をしていること。HUDは通知をすべて出す場所ではなく、いま必要な一言だけを出す場所です。何でも表示しようとするアプリは、結果的に視界がうるさくなり、使われなくなっていきます。次に、文字数と表示時間の設計が丁寧なこと。一瞥で読める分量に抑え、読み切る前に消えたり、逆にいつまでも表示され続けたりしないアプリは、体感の完成度がはっきり違います。そして、スマホ側の処理とグラス側の表示の役割分担が明確なこと。これはアプリ開発入門の記事でも書いた「出口の制約から設計する」という考え方と同じで、良いアプリほどこの分担がシンプルです。
逆に、これらの逆を行くアプリ(表示過多、文字数過多、処理が重くグラスとの同期が遅い)は、スペック上の機能が豊富でも、実際に使い続けるとストレスになりがちです。試用の際は、機能の多さより、この3点を見てみることをおすすめします。
SECTION 06筆者が開発しているアプリについて
公平性のために明記しておきます。筆者はEven G2向けに、話者認識(誰が話しているかを判別する)を使った字幕アプリを開発している当事者です。したがって、この記事は「利害関係のない第三者によるレビュー」ではなく、同じジャンルの開発に取り組んでいる開発者による、実践的な地図として書いています。自分のアプリを本記事内で名指しで宣伝することはしませんが、開発の動機や技術的な背景に関心のある方は話者認識(話者判別)とは何かの記事と、開発全体の学びをまとめたアプリ開発入門の記事もあわせてご覧ください。
Even Hubのアプリ生態系はまだ立ち上がったばかりです。今日のジャンル傾向がそのまま数ヶ月後も続くとは限りません。この記事はあくまで探し方と見極め方の「地図」であり、実際に何が並んでいるかは、ぜひご自身のEven Hubアプリを開いて確認してみてください。そもそもどのタイプのスマートグラスが自分に合うかから見直したい方は、スマートグラスの選び方・用途別ハブから読み直すと、開発レーン以外の視点も含めて整理しやすくなります。
SECTION 07よくある質問
Q. Even Hubのアプリはどこで探せますか?
スマホ側のEven Hubアプリ内にあるカタログ(アプリ一覧)から探せます。Even G2を最初にセットアップする際にインストールするEven Hubアプリが、いわば「アプリストア」の役割を兼ねています。最新の掲載アプリ数・カテゴリ構成は流動的なので、実際にアプリを開いて確認してください。
Q. Even Hubのアプリはすべて無料ですか?
公開情報の範囲では、アプリごとの価格体系(無料・有料・アプリ内課金の有無)は個々のアプリの配信ページで確認する必要があり、一律の方針を筆者は確認できていません。インストール前に各アプリの説明文で確認してください。
Q. 自分でおすすめアプリのランキングを作らないのはなぜですか?
Even Hubはまだ新しいプラットフォームで、アプリの追加・更新・終了のペースが速く、筆者も全アプリを継続利用して比較したわけではありません。断定的なランキングより、自分で見極めるための基準を示す方が、鮮度が落ちても価値が残ると考えているためです。
SOURCES主な参照元
- Even Realities 公式サイト(Even Hub・Even G2 製品情報)
- Even Hub アプリ内カタログ(筆者による閲覧・確認)
- 筆者による Even G2 向け話者認識アプリの開発経験